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広報誌gain

必要な情報を集めよう

理論とは無縁だった!?

ID野球で名高い野村克也氏がプロ野球に入ったころ(かれこれ50年ほど前でしょうか・・・)、バッティングとはどういうものかとコーチにたずねたらこんな答えが返ってきたそうです。「バッティングというのは球をよく見てズバッとバットを振るんだ」と。その当時は「ふぅーん」という感じだったそうですが、その後自分のレベルが上がらずに悩んだとき「これではだめだ」と思い自分の映像を見たり相手ピッチャーの癖を研究したりしたのだそうです。

また、これは日本のサッカーがまだアマチュアだった1985年、ワールドカップメキシコ大会を目指して最終予選に駒を進めたときの話です。当時の日本代表だった都並敏史氏によれば、「戦術らしいものはなく、トレーニングで『このダッシュを20本出来ればワールドカップに行ける!』などと考えていた」そうです。スポーツで勝利するためには「自分の限界を高める」ことがすべてだと考えられていたわけです。

外国人が日本のスポーツを変えた

スポーツに体力が必要なのは言うまでもありません。しかし、それだけでは不十分で、特に勝利を追求するチャンピオンスポーツではそれ以外の要素が関わってきます。

1950〜60年代、日本のプロ野球はいわゆるスターと呼ばれる選手の活躍がチームの勝利に直結していました。稲尾、金田、米田、長嶋らが活躍したオールドファンには懐かしい時代です。そこに大リーグから選手やコーチが来日するようになりさらには大リーグのチームと対戦するようになって状況が変わります。大リーグの選手、チームにはゲームの状況に応じて「戦術」が存在しました。ボールカウント、アウトカウント、ランナーがどの塁にいるか、相手ピッチャーはどんな配球をするのか、相手の守備陣形のどこにスペースがあるのか、こちらの打順が何番なのかといったことを細かく分析して攻撃をしました。また守備でも相手バッターの特長に合わせて野手の守備位置を変えたりしました。こういった戦術に従う野球はその後、日本のすべてのチームで取り入れられました。そして川上監督のもと日本シリーズ9連覇を達成したジャイアンツで徹底され、さらには広岡監督や森監督率いる西武ライオンズ、野村ヤクルトで大きな成功を収めました。

サッカーの世界で初めて外国人監督として日本代表を率いたのはハンス・オフト氏でした。彼はトライアングル、アイコンタクト、コーチング、スモールフィールドといったサッカーの基本戦術をチームに浸透させました。また、対戦相手の情報を集めるスカウティングにも力を入れました。結果的にワールドカップへの出場は逃しましたが、史上初めてアジアカップを制するなど日本のサッカーをアジアのトップレベルに引き上げ、現在の日本代表の礎を築いたことは疑いのないところでしょう。

外国人がもたらしたもの

野球やサッカー以外でも外国人指導者の登場で劇的にレベルアップを遂げた種目はいくつかあります。このような状況を一昔前なら「やっぱり外国人は違うな」とか「外国人じゃなきゃダメだな」などと言っていたところでしょう。しかし、現在では日本人でも優秀な指導者が多く出ています。例えばJリーグ横浜F・マリノスを常勝チームに育て上げた岡田武史氏、長年のコーチ経験を生かして監督としてアテネオリンピックに挑んだ山本昌邦氏、あるいは女子マラソンのメダリストを数多く育てた小出義雄氏などなど・・・。さすがに外国のトップチームやプレーヤーを指導する日本人はまだ現れませんが、日本人指導者のレベルが高くなったことは間違いないでしょう。

外国人は何をもたらしたのでしょうか。彼らが日本のスポーツ界に広めた「戦術」は言い換えれば「ゲームで勝利するために必要な情報」と言えるでしょう。つまり、彼らはそれまで日本のスポーツ界ではあまり重視されていなかった「情報」を持ち込み、その「情報」を駆使して試合に臨んだのです。また彼らは試合に必要な情報以外に、指導の方法や指導者として必要な資質といった「情報」ももたらしたと考えられます。要するにこれまでの日本のスポーツ界にはいろいろな面で情報が不足していたのです。その不足していた情報が入り、様々な状況に対処できるようになったことがスポーツのレベルアップにつながったのではないでしょうか。

私たちを取り巻く環境は・・・

私たちの周りでもこのような劇的な変化が現れています。少子高齢化社会の到来、医療費の負担増などにより自分の健康は自分で管理するという時代を迎えつつあります。そして、このような世相を反映して巷には健康に関する様々な情報があふれています。肩こりや腰痛を解消する方法、体脂肪を燃焼させるエクササイズ、食材に含まれる栄養素やサプリメントの効能などを取り上げたテレビ番組は毎日のように放送されています。私たちはこれだけ多くの情報をどう活用したらよいのでしょうか。

たしかに、行き着くところは「健康」なのですが具体的にどうなったら「健康」と感じるかは人によって違うはずです例えば腰痛に悩む人は「痛みを感じないで生活したい」と思うでしょうし、脳梗塞など大きな既往歴のある人は再発しないように努めるでしょう。ですから多くの情報の中から自分に必要な情報を取捨選択する努力が必要です。当然試行錯誤があるでしょうし、「面倒くさい」と思うこともあるでしょう。しかし、病気になってすべてを医者任せにしたり何種類もの薬を服用したりすることを考えればより主体的に人生を送れる時代になったともいえるのではないでしょうか。多くの情報に振り回されることなく、健康な生活を送るために皆さんなりの「戦術」を立て、さらなる健康のレベルアップを目指しましょう。

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