本文へスキップ

広報誌gain

食事について


 秋はいろいろな食べ物が出回り私たちの食欲を刺激します。「この季節は食べ過ぎて困る」という声が聞こえてきそうですが、体は来るべき冬に備えて脂肪をため込もうとしていますその脂肪(脂質)に対する皆さんのイメージは「ダイエットの敵」、「メタボの友」などマイナスなものが多いと思います。確かに体内の脂肪が多すぎるのは困りますが、全くないのも困ります。

脂肪はたんぱく質や炭水化物とともに3大栄養素と呼ばれています。たんぱく質は筋肉を中心に体を作る材料になり炭水化物は体を動かすエネルギー源になります。とかく邪魔者扱いされる脂肪はこの両方の役割を担っています。

脂肪は1gあたり約9キロカロリーという大きなエネルギー量を持ちます。炭水化物由来のエネギーは使い勝手がいい反面、体内に多く保持でないのでいざという時には体内に蓄えられた脂肪が役に立ちます。

またひとつひとつの細胞は細胞膜で覆われていますが、この膜は脂肪が分解されて出来た脂肪酸を原料としています。つまり脂肪は細胞を構成する一部なのです。

脂肪酸は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2つに分けられます。不飽和脂肪酸は一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられるので3つのグループに分けられると考えてもいいでしょう。飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸を大まかに分類すると次のようになります。

@飽和脂肪酸(パルミチン酸、ステアリン酸)肉類や牛乳、バター、チーズなどの乳製品に多く含まれる。

A不飽和脂肪酸

(1)一価不飽和脂肪酸(オレイン酸)

オリーブ油、菜種油などに多い。

(2)多価不飽和脂肪酸

n6系(リノール酸)

大豆油、コーン油、紅花油など調理に使う植物油に多く含まれる。 

n3系(DHA、EPA、αリノレン酸)

DHAEPAはサンマ、サバなどの青魚に多く含まれる。αリノレン酸はエゴマの種子や亜麻仁(亜麻の種子)、胡桃などに豊富に含まれる。

 DHAEPAはコレステロール値の増減に影響するといことでサプリメントとしてもメジャーですが、「脂肪」という認識はあまり持たれていないかも知れませんね。

これらのうち飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸は体内での合成が可能ですが、多価不飽和脂肪酸は体内で合成できないため食事で摂取する必要があります。

体内で合成できないこれらの脂肪酸(必須脂肪酸)は意識的に摂取する必要がありますが、n6系、n3系それぞれの摂取量を比べると、現代人は総じてn3系が不足しがちという傾向があるそうです。

そこで意識的な脂肪の摂取方法としてはn3系の脂肪酸を含むものを選んで摂るのが望ましいといえるでしょう。

ここでひとつ注意したいことがあります。不飽和脂肪酸は酸素と結び付きやすい(酸化しやすい)ため、単独での摂取や多量の摂取は体内に酸化した脂肪(過酸化脂質)を増やすことになり、かえって悪い影響を及ぼしかねません。従って、この作用を防ぐ働き(抗酸化作用)を持つ物質を一緒に摂取することが求められます。ビタミンCやビタミンEなどの抗酸化ビタミンと一緒に摂取すると良いでしょう。

ではn3系の脂肪酸は具体的にどれぐらい摂取すればいいのでしょうか。標準的な体組成を基に、食事から摂取する三大栄養素の割合を

@炭水化物=総エネルギーの50〜60%

Aたんぱく質=総エネルギーの13〜15%

B脂   質=総エネルギーの20〜25%

と考えます。

 このうち脂質に関して、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸の望ましい摂取割合はおおむね3:4:3、n6系とn3系の比率は4:1と考えられています。ですから、n3系不飽和脂

肪酸の摂取量は脂質全体の6%程度、食事全体では1〜1.5%程度という計算になります。結局のところ、必須脂肪酸は必要不可欠なものですがその必要量はごく少量で構わないということになります。

 「ここまで説明してきて何だよぉ〜!」といわれそうですが、「これさえ食べていれば大丈夫」と言うものはなく、数多くの種類の食品を少しずつ摂取することが大切なのです。

1回の食事で摂りたい食品をあらわす「ま・ご・わ・や・さ・し・い」という言葉をご存じでしょうか。それぞれ次の食品の頭文字をとったものです。

     ま:豆

ご:ゴマ、ナッツ類

わ:わかめ=海藻類

や:野菜

さ:魚

し:シイタケ=キノコ類

い:イモ

 ゴマ、ナッツ類がきちんと含まれていますが、ゴマを食べる時、器に盛っておかずとして食べる人はいないでしょう。たいていはご飯にふりかけたりする程度の量です。つまり「その程度」でいいということです。そしてそれを毎日続ければいいのです。

 さあ、脂質の必要性が分かったらあとは実践あるのみです。この秋は脱メタボとともに脂質との適度な距離、上手な付き合い方を見極めて下さい。

NPO法人
ヘルスプランニング


TEL 03-6767-1499
FAX 03‐6767‐1499
email@healthplanning-npo.com