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広報誌gain

貯筋について

すでにご存じの方も居るかと思いますが「貯筋」という言葉です。「筋肉を貯めるために筋トレをしましょう」という意味なのですが、「使わずに貯めるのが貯金、使って貯めるのが貯筋」です。

そもそも、なぜ筋トレをして貯筋する必要があるのでしょうか。それは、筋肉は使わないと衰えるからです。筋肉が衰えると体を動かすのが面倒になります。面倒くさがって体を動かさないでいるとさらに筋肉が衰えます。

この悪循環、実は世の中が便利になったことが一つの要因として挙げられます。

かつては手作業で行われていたことが徐々に機械化され、次に自動化され、気が付けば身の回りのことは全て電化製品がやってくれるようになりました。私たちは最小限の準備をしてスイッチを入れたりリモコンで操作したりするだけです。

小学生の時、社会科の時間に「オートメーション」という言葉が出てきました。「世の中、オートメーション化(自動化)が進むとどうなるでしょう?」という先生の質問に「人間が堕落する」と答えた人がいました。その時先生は“期待した答えとは違うわね”というニュアンスで「ずいぶん厳しい意見ね」と言っていましたが、筋活動という点で私たちは、今まさに堕落した状態に置かれています。

お金は無くなれば人から借りることが出来ますが、筋肉は無くなっても(弱くなっても)人から借りることが出来ません。弱くなった筋肉は自分で何とかするしかないのです。弱くならないように日ごろから準備しておかなければなりません。

そこで筋トレをする必要があるのですが、筋トレあるいはウェイトトレーニングと聞いてイメージするものは何でしょう。ウェイトリフティング?ボディビル?はたまたマッチョ、ムキムキ・・・。いずれにしても何か重いものを扱って、ハードにトレーニングしなければ効果がないと考える人もいるのではないでしょうか。確かにそれもウェイトトレーニングの一つの側面ですが、それがすべてではありません。というわけで、ここで改めて筋トレについて考えてみましょう。

筋トレを行うと、筋肉の細胞が壊れます。この壊れた細胞が修復されて筋肉の繊維が太くなったり繊維の数が増えたりして大きな力が出せるようになります。つまり、筋トレをしただけでは体力的な向上はなく、むしろ体力としては低下しているのです。

また、筋肉が修復されるためには栄養と休養が必要です。具体的には栄養とはたんぱく質、休養とは睡眠です。睡眠中にはたんぱく質の再合成が行われます。食べ物として摂取したたんぱく質を体のたんぱく質(筋肉)に作り変えるのです。

このような過程を考えると、トレーニング、特に筋トレとは「運動・栄養・休養」のサイクルだということが分かります。では、このようなサイクルの中にある筋トレはどのようにして行うのが望ましいのでしょうか。トレーニングには        幾つかの原則があります。まず1つ目は「個別性の原則」です。これは「各自にあった負荷や強度でトレーニングしましょう」ということですが、もう少し具体的に考えてみましょう。

例えば、ダンベルを使って腕の筋肉を鍛えるとします。もし、「腕のトレーニングは全員10sのダンベルを使いましょう」と言うことになったら、10回繰り返せる人、15回繰り返せる人、3回しか繰り返せない人となってしまいます。そうではなく、「各自で10回位繰り返せる重さを使いましょう」というのが個別性の原則です。

2つ目は「過重負荷の原則」です。日常生活のさまざまな動作によって私たちの筋肉には刺激が加わります。しかし、いろいろな面で便利になった今日ではその刺激も筋力を維持するには十分とはいえません。筋力の低下が腰痛などの原因になることは皆さんもご存知だと思います。そこで筋力を維持するために、日常生活で受ける刺激よりも強い刺激を意識的に筋肉に与える必要があります。これを過重負荷の原則といいます。

 3つ目は「漸進性の原則」です。ヒトの体は外からの刺激に慣れるように出来ています。5sで10回繰り返していたトレーニングも徐々に11回、12回と繰り返す回数が増えてきます。さらに15回、16回と回数が増えてきたら扱う重さを増やします。これが漸進性の原則です。

 ヒトの体は胸と背中、おなかと腰、太ももの前側と裏側と言うように前と後ろで対になっています。つまり体の前と後ろで引っ張りあっていると考えることができます。したがって胸だけ鍛えたり、おなかだけ鍛えたりすると引っ張り合うバランスが崩れてしまいます。そのため、筋トレをする場合には対になっている部分は同じように鍛える必要があるのです。これが4つ目の原則、「全面性の原則」です。

 5つ目は「反復性の原則」です。1回の筋トレでは多くの効果は期待できません。しかし、3か月、6か月、1年と継続するほど効果は大きくなって行きます。月に2回120%で頑張るより、週に2回の80%を続けると言ったところでしょうか。

 最後は「意識性の原則」です。筋トレも漠然とするよりはどの筋肉を使っているかとかどんな効果があるかと言ったことを意識しながら行うとより効果が高くなります。やらされるトレーニングではなく自ら進んで行うトレーニングにしたいものです。

 さて、トレーニングとは運動・栄養・休養のサイクルだということをお話ししましたが、このサイクルは同時に3つのバランスが取れて初めて「良いトレーニング」ということになります。つまりトレーニングそのものがハードだから良いトレーニングだという訳ではなく、トレーニング後の栄養と休養によってどの程度回復したかがトレーニングの良し悪しをきめるということになります。 このように考えると、トレーニングとはまさに生活習慣の一部と言えるのではないでしょうか。そして生活習慣を見直すということは、運動(ト

レーニング)・栄養・休養(睡眠)のバランスを見直すということになるのではないでしょうか。

 つまりは、今の生活の中でどのような食事をとり、どのくらいの休養(睡眠)を確保できるのかによってトレーニングの強度や頻度は決まってくるという訳です。

 こうした観点から筋トレを上手く生活の中に取り入れ積極的に貯筋に取り組みたいものです。貯筋が進むと活動的な生活が可能になります。活動的というのは運動やトレーニングすることだけをさしません。趣味や勉強をするにも体力がいります。日常生活に支障を来さないためにも体力、筋力は必要なのです。

 貯筋を始めるのに遅すぎるということはありません。さぁ、今からでも貯筋をはじめましょう

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